半衿は「半襟」とも書かれ、「はんえり」と読みます。
このページでは半衿の付け替え方について説明をします。
「はんえり」とは
「半襟」や「半衿」、どちらも正解で、漢字で書きます。
着物の下に着る下着「長襦袢」(ながじゅばん)に付ける「襟」~えり~の事です。
長襦袢の役目は、高価で大切なお着物を汚さないために、直接着物に首の汚れや皮脂、汗、ファンデーションが付かないように保護するという大切な役割があります。
なぜ半衿をするのか
なぜ着物に半衿をつけるのかというと大きく2つの目的があります。
①長襦袢本体の襟部分に汚れが付かないため
長襦袢本体が汚れると、洗うのが大変です。そこで長襦袢用の衿をつけます。
また、衿部分というのは汚れやすく、洗っても落ちにくい汚れとなりやすいです。その汚れを、そもそもつけないようにしようと考えられたものです。
汚れが付くと取り外して半衿だけを洗うことができます。
専門店で洗う場合は1,000~2,000円位かかります。
正絹生地かポリかで洗い方と料金に違いがあります。
半衿は取り外してまた着物に付けます。別途、取り付け代金もかかります。
出来れば自分で取り外し、洗濯や、取り付けができるといいでしょう。
②オシャレの重要ポイントのため
半衿の基本は無地の白。
改まった席では、その場に合った装いを選びます。
普段着であれば自由に組合せを楽しむこともできます。
お顔周りを引き締めたり、華やかさを演出したりする
重要なアイテムのひとつなのでさまざまな工夫ができます。
着物を着るときの大きな楽しみのひとつとなります。
半衿の付け方、着方
普通は人差し指の第一関節(1.5cm)くらいをはみ出すように着ます。
あなたの好み次第で、半衿をたっぷり出す、少しだけ出す、などの調整をしてください。
着物のデザイン、あなたの好みで合わせた時に調節します。

裄寸法が足りない時に半衿をしっかり出す着付けは有効です。
アンティークのものなど、小さめのお着物をお召しになるときには、
肩巾を少し外側にずらして着用することでカバーすることができます
半衿のつけ方の種類
半衿のつけ方には大きく分けて3種類あります。
- 手縫い(自分でもしくは仕立て)
- ファスナー・マジック・ボタン使用の半衿(超簡単)
3.伊達衿(便利グッズ)
今回は1 の手縫いの方法を伝えたいと思います。
手縫いで半衿を縫う場合、衿芯というものが必要
衿芯とは、衿元を美しく見せるために必要なものです。衿芯を入れないで着てみるとわかりますが
衿が柔らかいので立ち上がらずうなじの美しいラインが出ません。
(いわゆる衣紋抜き(えもんぬき)がスマートに決まらない)
使用する場合は、半衿を付けたと衿芯を差し込んでずれないように縫って完成になります。
ステップ1 半衿全体をアイロン掛け
アイロン掛けは、絹の場合は中温で裏から。
ポリエステル衿の場合は当て布をします。
ステップ2 半衿の両端を折り込む ~付け始めるまでの準備~
半衿を折り込むのは、長襦袢の地衿に紐が付いている場合等、半衿の長さ調整のためです。
両端を1cm折ります。
しつけ縫いをします。裁ち目から少し入ったところから1cm間隔で縫います。
<表に返した状態>
半衿の耳の片方を約1cmで折り目をつけていきます。
ぷかぷか浮く場合は軽くアイロンをかけると作業がしやすいです。
ステップ3 長襦袢に縫い付ける
折り目を付けた方の端と端をあわせて山の方にまち針を止めます。
半衿に打ったまち針を襦袢の背の線をあわせてまち針を止め直します。
背の方にから衿先に向かって少し張りながらまち針を止めていきます
残りの地衿の部分の長さがどれくらいあるか測っておきます。
半衿をつけていきます。
端の方を止めて本くけをしていきます。
くけ縫いとは、一針すくって、その針目を返して一針進む縫い方です。この場合は、半衿と長襦袢の衿のそれぞれの折山から0.1cm内側を、両方同じ間隔(0.5~0.7cmくらい)で表に出ないようにすくって閉じていきます。
背のところまで来たら反対側も同じようにまち針を止めます。
この時先程測った地衿の長さと同じ長さのところを半衿の先になるようにします。(左右対称)
まち針を止めたら縫い進めていきます。
縫い終わったら裏の方を縫います。
半衿の端と端を持って山にまち針を止めます。
まち針を止めた所と襦袢の背の線をあわせてまち針を止め直します。
表の同様にまち針を止めていきます。
この時に輪の方がちゃんと行き着く様に意識しながらまち針を止めていきます。
背のところまで進んだら反対側も同じようにまち針を止めて縫っていきます。
最後に当て布をしながらアイロンがけしたら完成です。
差し込む衿芯は、長襦袢の衿の内側に差し込みます。外側に差し込むと、着たときに衿芯の形が表に響くので注意が必要です。